こんにちは、もちです。
新宿のSOMPO美術館で開催中の「シダネルとマルタン展」に行ってきました!
シダネルとマルタン
シダネルとマルタンはフランスの画家です。
今回の美術展の公式サイトに「最後の印象派」とあるように、「印象派」として有名なモネよりも少し後に生まれた画家たちの展覧会です。
(モネが1840年生まれ、シダネルが1862年生まれ、マルタンが1860年生まれ。)
北フランスのシダネル、南フランスのマルタン、同じ時代を生きた二人ですが、その生活圏の違いが絵の雰囲気に現れています。
その違いを比較しながら楽しむことができる贅沢な美術展です!
途中、写真撮影が可能な絵もありましたので、ぜひお見逃しなく!
柔らかな印象 北フランスのシダネル
北フランスで活動したシダネルの絵は、靄(もや)がかかったような淡く柔らかい色あいが特徴です。
昼間の情景でも、日差しが降り注ぐ明るさではなく、雲がかかった、少し暗めの印象。
あるいは、薄暗い夜の情景の絵が多く展示されていました。
今回、展示されている絵の中に《ビュイクール、月明かりのなかの教会》(1904年)という絵があります。
教会の三角屋根が大きく描かれた絵ですが、近づくとその左側にも建物が続いているのが見えます。
だんだんと情景が見えてくるようすが、こちらも靄の中にいるようで臨場感がありました。
夕暮れや夜の風景の中に、ぽつりぽつりと灯る家の明かりを描いた作品も素敵です。
《ジェルブロワ、雪の広場》(1902年)や、《ジェルブロワ、明かりの灯る2つの窓》(1935年)など、人物が直接描かれていないにも関わらず、人の営みが感じられて、温かく安心した気持ちになります。
また、シダネルはテーブルの上に静物が置かれた「食卓」シリーズを多く描いています。
こちらも人物は描かれていないのですが、「この食卓に、このあと誰か来るのかな?」と思わせる素敵なシリーズです。
特に《ジェルブロワ、青い食卓》(1923年)が好きで、ポストカードを購入しました!
《ジェルブロワ、テラスの食卓》(1930年)
アンリ・ル・シダネル 《ジェルブロワ、テラスの食卓》(1930年)
鮮やかな彩色 南フランスのマルタン
南フランスで活動したマルタンの絵は、明るい日差し、鮮やかな色使いが特徴です。
マルタンはフランス国務院の巨大な装飾画を手がけた画家です。
今回はこの壁画をつくるにあたってマルタンが描いた習作が展示されています。
太陽の明るい日差しのなかで農作業をする人々がいきいきと描かれており、シダネルの色とは対照的です。
海沿いの村・コリウールの港を描いた《コリウール》(1923年)は、彩度の高い青・水色がふんだんに使われています。
同じくコリウールの地を描いた《コリウール、ミラドゥー通りの屋根》(1927年頃)は、赤茶色の鮮やかな屋根が印象的です。
その赤茶色の屋根に、青系の色で影を入れるセンスがすごい……!
そのほか、池のほとりに座るピンクの洋服を着た女の子が描かれた《池》(1910年以前)も印象的。
服や池の水面を描く力強くスピーディーな線と、顔を描く緻密な筆遣いの差が見て取れました。
女の子に声をかけたら、こちらを振り返ってくれそうな、いきいきとした絵に見えました。
《ガブリエルと無花果の木〔エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作〕》(1911年)
《二番草》(1910年)
アンリ・マルタン 《ガブリエルと無花果の木〔エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作〕》(1911年)
アンリ・マルタン 《二番草》(1910年)
会場のようす
入り口
SPMPO美術館は、エントランス前にあるゴッホの《ひまわり》の看板が目印。
入り口のガラスには、今回の展覧会名が大きく書かれていました。
エントランスを入ってすぐ、左手側にロッカーがあります。
無料で利用できるので、身軽な格好で展覧会を楽しめます!
(ここ以外はロッカーがないので注意!)
今回、日曜日の午後3時頃に入場しました。
事前チケットをを購入していたので、ほぼ待たずスムーズに入場できました。
当日券もあったようで数名並んでいましたが、こちらもスムーズに入場できているようです。
展示室
展示は、5階から始まり、3階まで。
受付後、すぐ奥にエレベーターがあるので迷わす進めます。
5階入口すぐのところで、出品リストと、フロアマップ兼シダネル・マルタン関連地図がもらえます。
地図を見ると、シダネルとマルタンに関連する土地に印が付けられており、二人が活動していた地域が一目瞭然です!
会場内は特に混雑せず、快適に鑑賞できました。
一部、写真撮影可能な絵があったため、そこだけは周りより少し混雑している程度です。
ちなみに、会場内には椅子(ふかふか!!)がちらほら配置されているので、疲れても休憩できます。
感染拡大防止のため、間隔を空けて座るようになっています。
展示内容は、テーマごとに1〜9章に分かれています。
章のはじめの解説が貼ってあるところに、カーテンがかかっていておしゃれ!
家の周りの風景や家族など身近なものを描いたシダネル・マルタンの絵の雰囲気にあっていて、とても素敵でした!
↓SOMPO美術館Twitterより
「シダネルとマルタン展」第1章
アンリ・ル・シダネル≪エタプル、砂地の上≫ 1888年個人蔵
第1章では、シダネルが独自の表現の模索の為9年間に亘り滞在した、北部の港町エタプルで描かれた作品をご紹介します。北部特有の淡く微妙な変化を見せる光の表現が特徴ですhttps://t.co/hywU0JQq5A pic.twitter.com/dXldIQ0E8p— SOMPO美術館 (@sompomuseum) March 29, 2022
額縁にもぜひ注目してほしいです。お花の装飾がある木の額縁が可愛かった!
他に、シンプルな木そのものの額縁に飾られた絵もあり、まるで窓から外の光景を見ているようでした。
額縁は図録では確認できないので、それも含めて楽しめるのは会場に行った方の特権ですね!
途中、シダネルとマルタンが庭を歩く映像がありました。
「印象派」と聞くと教科書に出てくる時代のできごとのように感じてしまいますが、映像に残っている二人の姿を見て
「今からさほど遠くない時代に生きていた人たちなんだな……」
と、とても身近に感じました。
ミュージアムショップ&カフェ
2階はミュージアムショップになっており、小さなカフェスペースも併設されています。
今回の「シダネルとマルタン展」関連のポストカード、クリアファイルなどのグッズが並びます。
そのほか、SOMPO美術館所蔵のゴッホの《ひまわり》のグッズや、おしゃれな雑貨も。
「シダネルとマルタン展」の図録はミュージアムショップに並んでいないようでしたが、レジで伝えれば購入できます!
(レジ後ろに、白い封筒に入った図録が積んでありました。)
「シダネルとマルタン展」の概要
タイトル:「シダネルとマルタン展」
会場:SPMPO美術館(JR新宿駅南口から徒歩5分)
会期:2022年3月26日(土)〜6月26日(日) ※月曜休館
開館時間:10時〜18時(入館は閉館30分前まで)
観覧料:一般 1,600円/大学生 1,100円/小中高校生・障がい者手帳をお持ちの方 無料
(事前購入券なら、一般 1,500円/大学生1,000円)
感染症拡大防止措置などにより開催状況が変動するかもしれませんので、事前にSOMPO美術館公式サイトを確認しましょう!